中国深圳ノート 2019年10月29日

作成:福田 淳(ARK)

 

■BYD工場視察レポート

深圳市は香港と接し、経済特区に指定されている政策によって開発された移民都市である。中国の中では北京市、上海市、広州市と共に、中国本土の4大都市と称される「北上広深」の一つであり、「一線都市」に分類されている。

深圳は中国を代表する都市であり、金融センターとしても重要な機能を果たしており、2010年の近郊を含む地域人口は1,447万人であり、世界第15位である。

ひと昔前は、古びた新興都市だった深圳市は政府主導で新事業発展のためのインフラが整えられたことから、シリコンバレーのハードウェアのスタートアップ企業や世界のハイテク製品を生産する工場が数多く設置され、「中国のシリコンバレー」と呼ばれている。

今回は深圳国際空港から1.5時間ほど移動した中国を代表する電気自動車産業の新興企業のBYD Auto Industry Co.,Ltd. を視察する機会を得たのでレポートをする。

 

 

会社名:比亚迪股份有限公司(BYD COMPANY LIMITED)

本社:中国・深圳市

設立:1995 年 2 月

拠点:世界約 40 拠点、約 30 生産工場

従業員数:約 24 万人(2019年10月29日ヒアリング)

株式:香港証券取引所、深圳市証券取引所に上場

事業内容:IT デバイス、自動車、環境エネルギー、モノレールに関連する事業

売上高:約 2.2 兆円(2018 年 12 月期)

EV 販売実績:約 25 万台(2018 年 12 月期)※1

※1 BEV(Battery Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)の合計台数

(BYD HPからの抜粋情報)

BYDの社名の由来は(Build Your Dreams:あなたの夢を築く)ということから1995年にスタートしている新興企業で急成長し2019年10月時点で全従業員は240,000人。今回の視察訪問はエンジン工場やBYDが目指す方向性につきヒアリングをした。

1995年に設立されたBYD(Build Your Dreams)は、香港および深圳証券取引所に上場。 主にノキア、モトローラー社などIT業界と充電式バッテリー事業で(ハンドセット、コンピューターコンポーネント、アセンブリサービスを含む)から始まり、2003年から電気自動車事業に大きく舵を切った。
BYDの中長期戦略では、手頃な価格と信頼性がある場合にのみ電動モビリティ(Emobilty)への移行が行われるため、バス、タクシー、乗用車、フォークリフトトラックなど、多種多様な電気自動車を提供しているというのがインパクトの一つ。

2019年10月29日時点での自動運転技術は「レベル3」を誇る。(レポート作成者)

 

■BYDの「7 + 4」戦略とは?

BYDは「7 + 4」戦略を開発し、ほぼすべての従来型および特殊車両市場向けに電気自動車を生産している。
「7分野」とはBYDがコアとしている7つの従来の電気自動車の車両は大型バス、タクシー、物流トラック、建設特殊車両、廃棄物管理車両、一般向け乗用車などの車両。

「4分野」とは、BYDが注力する4つの専門車両分野であり倉庫物流車両、鉱業用特殊車両、空港用特殊運搬車両、および港湾用特殊運搬車両の開発が目標。

 

 

BYD (R&Dセンター)のモノレール試乗コースと充電パーキングステーション社内風景

 

欧米並びに日本からIGBT半導体を調達している。次世代型パワー半導体SICには2019年10月の段階では移行していない。

 

BYDバス&トラック

 

 

 

 

電気自動車駆動ボディー

■所感:
生産現場での撮影は禁止だったが工場内は今まで中国のイメージとは違い原材料は自動倉庫管理、製造部門はIoTや人工知能(AI)の導入による新次元の自動化工場が進んでいる印象を持った。今後製造分野やオフィスでは「ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)」が活躍する現場も増えると思う。
今回の訪問は次代における中国の「自動化」の波を感じた。

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