バンコク(2020年7月)街中レポート

2020年7月13日

レポート作成:梅谷 誠(寄稿)

 

タイではCovid-19(以下、新型コロナ・ウイルス)の感染拡大に伴い、2020年3月26日に非常事態宣言が発出され、以降、国民生活や経済活動が大きく制限されることとなった。

この宣言は、数回にわたって延長されて、7月末日を期限として、現在も、継続されている。

タイ国内での新規感染は、5月下旬以降、40日間以上、発生していない。5月からは、タイ国内での新規感染の減少に伴って、段階的に制限が緩和され、7月からは、政府の規定した感染防止対策を守ることを条件として、殆どすべての活動が可能となリ、BITEC 、IMPACTなどの大型イベント展示場でも、展示会を再開している。

当地のテレビニュースによれば、7月上旬の3連休の際には、バンコクと地方を結ぶ主要道路は帰省客で渋滞し、近郊の海岸や公園は観光客で混雑した。報道では、一般国民の生活は、コロナ以前にほぼ戻ったとの見方を示している。
バンコク近況に居住する私の実感としても、付近の住民の生活は、(少なくても表面上は)通常に戻っていて、バンコク市内の公共交通機関の混雑や道路の渋滞も激しくなってきている。
緊急事態宣言に伴って、タイ着の国際旅客航空便が原則として禁止された。これは、6月末日まで続き、外国人のタイ入国は不可能となった。この間も、毎日数便、出国外国人のためのタイ発旅客便と、在外タイ人の帰国のためのタイ着旅客便が運行された。なお、帰国したタイ人(以下、帰国者)は、検疫のため、全て政府指定の施設で14日間、隔離された。また、宣言発出時点で滞在していた外国人の滞在許可は、7月末日まで延長された。この帰国者からは、現在も毎日数名の感染者が発生している。

(2020年7月誰もいない空港内チェックインカウンター)

 

7月に入り、タイ政府は、労働許可を有する者など一部の外国人の入国を認める方針を示し、現在、日本などと双方の往来について協議している。ただし、タイ入国者は、帰国者と同じく、14日間の隔離措置を受け、その費用は本人が支出することが条件となっている。このような条件では、余程の理由が無い限り、来タイする外国人はいないと思われ、事実上、外国との往来中止が続くと見られる。
タイ国内での規制については、帰国者の隔離期間14日間を大幅に上まわる期間にわたって、国内での新規感染が発生していないが、引き継ぎ、公共交通機関やコンビニなどを含む商店では、人数制限、入出登記、検温、マスク着用が(自粛や奨励ではなく)義務となっていて、これは、感染発生が続いている日本と比較しても、厳しい対応といえる。また、テレビニュースではタイ国内の外に日本を含む外国での感染状況が毎日、詳しく報道され、”外国との往来がコロナ以前に戻るには1年から1年半はかかるだろう”という意見も示されている。

(2020年7月空港内の離発着掲示板には「欠航/キャンセル」という文字がならぶ)

 

これらの状況からは、タイ政府や国民が、コロナに対して相当程度、敏感、慎重になっていることが窺え、政府が国民の同意を得て、外国人の入国条件を緩和することは難しいと見られる。
悲観的な見方になるが、当分の間、少なくても今後数ヶ月間は、外国との往来が自由になる可能性は少ないと思われる。当面は、緊急事態や外国人滞在許可の期限となっている7月末日の動向に注目している。

(続く)